現在採用担当としてお勤めの方の中には、以前に別の職種を経験してから異動・転職してきたという方もいるでしょう。
その中でも特に、営業経験によるコミュニケーション能力を買われ、採用担当となられた方々が多いように思います。
そのコミュニケーション能力のみならず、営業経験で培ってきたマーケティングやKPI設定のノウハウも、採用活動において大いに生かされます。
しかし、これまでのお客様に対するコミュニケーションと、求職者、特に学生に対して行うコミュニケーションには大きな相違があります。
もはや正反対と言っても過言ではありません。
今回は、まるで営業のように学生と接してしまうことによって起きる「失敗例」をお伝えします。
異動・転職したての採用担当の方だけではなく、リクルーターのお仕事を兼任している営業マンの方も、ぜひ参考にしてみてください。
焦ってあなたの”愛社心”を押し付けないで!
自社の商品やサービスを売るのが営業マン。採用活動においても、学生に対して「自社の良いところ」を思う存分PRしがちです。
会社は様々な魅力を備えているものです。
・業界を牽引するリーディングカンパニー
・平均年収が同業界のなかでもトップクラス
・現状に甘んじない成長環境
・志高い企業理念
などなど。
一見どれも魅力的な要素に感じますが、これを読んだ皆さんの中にも「いまいち刺さらない魅力」があったのではないでしょうか。
たとえば「現状に甘んじない成長環境」。
採用担当者が自社のこういった点が好きで、必死にPRをしても、もしかするとその学生は
「成長環境は確かに悪くないが、ものすごい厳しかったら付いていけないかもしれない…」
と感じているかもしれません。
伝え方次第で学生は勝手にネガティブに捉え、その感情をこちらに示してくれないまま音信不通となるケースも多々あります。
もちろん、自社のPRをすること自体は何も悪いことではありません。
大切なのはその学生が何を求めているかを把握した上でPRすることです。
学生が自社を志望してくれていても焦らないで!
もしあなたの会社が人材業界であり、学生も「人材業界を志望しています」と話した場合、マッチングしているからこそ、すぐさま契約にこぎつけたい(採用においては選考を進捗させたい)という営業マン心理が発生しがちです。
「人材業界を志望しています!」と話す学生であっても、深く聞いてみることで、別のこだわりがあったり、選考の建前で話しているだけの可能性もあります。
そのため学生の発言が抽象的であれば、具体的にどういうことを意味しているのか、そしてその発言が本心か上辺か、ということをまずは見極める必要があります。
見極めが足らず、入社後にミスマッチが発生し、早期退職してしまうと誰も幸せになりません。求められても売ってはいけないお客様がいるのが営業との大きな違いであり、採用の特徴の1つです。
学生が他社に心をなびかせても焦らないで!
これは営業経験者だから…とは関係ありませんが、採用初心者の皆さんは、陥りがちな焦りのため、添えてお伝えします。
学生は自社以外にも他社を併願していることが一般的です。
たとえ今日「第一志望です!」と言ってくれてたとしても、入社することを承諾してくれてたとしても、明日には気が変わるなんてことも、よくあることです。
その事実を知ったとき、つい焦って学生の心変わりを責めたり、他社の悪口を言ったりしたくなりますが厳禁です。
そのようなことをしても、こちらの印象が悪くなってしまうだけであり、挽回がより困難な状況になります。
では、そのようなとき、どうするかという方法論もお伝えしたいのですが、長くなってしまいますので、ここだけ切り取った別のコラムとしてあらためてお伝えできればと思います。
さいごに
企業だけが学生を見極める立場ではなく、学生もまた企業を見極めようとしています。
そのフロントにいる担当者として、堂々と冷静に立ち振る舞う姿勢を忘れずに接してみてください。
採用に焦りは付きものですが、それを耐え忍ぶことによって学生との信頼が構築され、確かな実績へと繋がっていくことでしょう。