メガベンチャーの採用戦略〜エージェントとの向き合い方〜

最近では、ネット上に「低コストで良い人材を採用する」ための神ノウハウがたくさん流通してて、自分も何かそういったノウハウを記事にしたいと思ったのだが、まるでなかった笑

よく考えると自分は、ゲーム会社の出身で、いわいるバブリーな業界だったため、もちろん中長期でのブランディングや広報活動もしてはいたものの、それ以上に

「今、良い人材がほしい!お金は払うから人材を!」

というニーズに応える採用施策が必要だった。

あらゆる採用手法の中で、最も即効性があるのは、紹介エージェントを使うこと

ただ、ゲーム業界は当時、バブリーなわりには、業界から優秀な人材が出ていく流れがあり、少ないパイを多くの企業が取り合っている状況で、一般的な業界よりも売り手だった。

つまり、エージェントを使っても、なかなか採用できない状態だった。

そんな中、あらゆる手を用いて、最終的には月に20名を超える優秀層の採用を実現するにまで至ったわけだが、今日はエージェント利用について、基本となる心得と上手く行った施策を紹介してみる。

「えっ、ちょ、、、今更エージェント?!」

と思うかもしれないが、自分は本当にエージェントにお世話になったし、エージェント経由で超優秀な人材をたくさん採用できた。

売り手市場が加速する限り、エージェントの利用価値はあり続けると思っている派です。

目次:
1.そもそもの話〜エージェントマネジメントの基本〜
2.上手くいった施策①〜ステップアップガチャ理論〜
3.上手くいった施策②〜称号理論〜

1.そもそもの話〜エージェントマネジメントの基本〜

●エージェントの担当者=もう一人の採用担当者

エージェントの担当者と向き合うための基本姿勢をまずお話しする。

稀に、「エージェントもクライアントを選べるんだぞ!」という事実を理解しておらず、上から目線で担当者とコミュニケーションをする残念な方がいると聞くが、それは本当に愚かなので辞めたほうがいい

自分の親友(異性)を誰かに紹介してあげる場合を想像すればいい。
上から目線で要望を言ってくる人に紹介したいわけないし、そもそもお前何様だよって感じるはず。

そもそも今は、売り手市場で、求職者が企業を選べる。
その求職者と企業のカケハシであるエージェントに嫌われていては、そもそもスタートラインに立ててない。

まず、人事が絶対に持つべき最低限のスタンスは、

エージェントの担当者=もう一人の採用担当者

という意識を持つことだと思っている。

我々が自社の採用機能だけでは、充足できない部分を、補完してくれているもう一人の仲間と考えることがすごく重要だと思う。

具体的には、自社の代わりに
・人を集めてくれて
・足切りをしてくれて
・動機形成までしてくれて
・内定が出たときにはフォローまでしてくれる

エージェントは、本来採用担当がすべき機能を代行してくれている「もう一人の採用担当」であると、しっかりと認識すべき。

「お金を払ってるんだから」とか
そういうスタンスで接しているのであれば、すぐ改めた方がいいと思う。

●担当者と共に、伴走する

上記の最低限のスタンスを持った上で、次にやるべきは、
担当者と信頼関係を築き、伴走していくこと。

具体的には、
・お互いの利害を共有する
・現状を共有する
・一緒に目標を立てる
・一緒に達成プランを考える
・一緒に振り返り、達成時には一緒にお祝いする

正直なところ、これだけで、
エージェントの動きはかなり変わるし、ライバルとも差別化できる。

自分は現役時代、注力エージェントの担当者の個人KPIや月次目標、締め日などはちゃんと把握していたし、
その担当者の目標達成に少しでも寄与できるよう、本質から足を踏み外さないレベルで、協力できることはしよう!というスタンスで向き合った。

また、自社の採用状況のデータも共有していた。エージェント別のパフォーマンスも可視化し、横並びにして共有していた(勿論、許可はとった上で)。

そして最も大切なのが、一緒に目標を立てること。
四半期毎に担当者と一緒に考え、一緒に目標を立てて、達成のためにはどういった動きをすべきかも、一緒にMTGをして考えていた。

もちろん、四半期が終われば、一緒に振り返り、課題や達成要因を共に整理したし、目標達成時には、大いに飲んだw

上記のように、エージェント担当者は大切なイチ採用メンバーだ!と考え、チームとして動くだけで、劇的に結果が出ることをまずお伝えしておきたい。

その上で、さらに数字が伸びた施策を2つほど紹介する。
前置きでも書いたが、「低コストで良い人材を採用する」よりは「今、良い人材がほしい!お金は払うから人材を!」という会社の施策という前提どす。

2.上手くいった施策①〜ステップアップガチャ理論〜

●ヒントはステップアップガチャ

バブリーな業界のエージェントのモチベーションを作るための第1手は、成果報酬を上げること。

担当者には売上目標があるわけなので、より売上があがる企業へコミットメントするのは、想像に難くない。
(ただ、これが本質ではない論はその通りだと思う。)

一般的な料率は30〜35%くらいなので、それよりも高い料率を出すことで、担当者のコミットメントを買う。
40%あたりで様子見をする企業もあれば、50%まで釣り上げる企業もある。中には、100%という大胆な施策をされている企業もあった。

非常にシンプルな施策が故、他社も当たり前にやっているため、差別化が測れず、モチベーションの継続に課題があった。

そこで元ゲーム企画者であった私は考える。
「やめられない!」という衝動を作り続ける施策・・・。

「・・・あ、ステップアップガチャだ。」

ステップアップガチャとは、簡単に言えば、回せば回すほど高レアリティのキャラの輩出率が上がるというもの。
この「ここで辞めたら勿体無い」「次こそ!」という感情が継続の理由を作る。

ということで、自分がやったのは、下記のような報酬設計をレベルデザインした。

・エージェントに支払う成果報酬の料率を、達成条件に従って変える
・達成すると、恩恵があるし、次には更に美味しい条件に挑戦ができる
・ただし、サボると0からのスタートとなる

これらにより、エージェントの担当者の方に、より楽しく、高みを目指して、ご協力いただけるような施策を実行した。そして効果はなかなかのものだった。

達成した担当者は、次の期間でスター状態になるわけだが、そこの旨味を知ると、もうスター状態から下りたくない。スター状態を維持するためにも、一生懸命動いてくれるし、協力してくれる。

何より、「より強力なスター」が次のステップ=目の前にあるわけなので、次はそれを目指そうというモチベーションになる。

●思考プロセス

どのように報酬設計をしていったかを簡単にいうと、
基本は、下記の【  】をあらゆるパターンを想定し、目的を最大化できるバランスにしていった。

【期間条件】で【達成条件】を達成すれば、【期間】で【褒美】を得られる。

 

【  】の例は下記のような感じ。

期間条件:「●ヶ月間で」等
達成条件:「内定承諾を●人」「内定を●人」「注力求人で内定承諾を●人」等
期  間:「そのQで」「次のQで」「今月」「来月」等
褒  美:「注力求人のfeeが◯%へ」「全求人のfeeが◯%へ」

パターンはとても多いが、条件や褒美などをステップアップ形式でデザインすることで、担当者の動きは飛躍的に上昇する。

3.上手くいった施策②〜称号理論〜

●お金の目標から別の目標へ

①の成果報酬を段階的に上げる施策で、担当者のモチベーションは劇的に高まり、結果も順調に伸びた。
ただし、忘れてはいけないのが、お金を使ってコミットメントを買う施策は長く続けられないということ。

本施策は大きな費用が掛かるため、
別の動機やモチベーションを中長期で創っていかないといけない。

そこで元ゲーム企画者であった私は考える。

ゲームユーザーさんは自分が欲しいものが手に入っても、なぜ継続して課金やプレイを続けるんだろう。

「・・・あ、称号か。」

多くのスマホゲームには「ランク」や「称号」などの名誉が存在し、他のユーザーからもわかるようになっている。つまり承認欲求が、さらなるモチベーションを創っていると考えられる。

ということで、自分がやったのは、エージェント向けのアワードを設置した。

具体的には「Best Agent 賞」と「Good Agent 賞」を創り、半期に一度、表彰する制度を作った。
担当者の方が机に飾れるサイズのクリスタルトロフィーを作り、感謝の言葉、気持ちとともにお渡しした。

そして、その事実を他のエージェントにもお伝えし、競争心を焚き付けたり、この賞のプレゼンスが高まる取り組みをした。

1年に一度、エージェント感謝祭を社内で行い、その場に担当者とその上司をお招きし、その場で表彰することで、より価値のある賞にしていこうという企画もしていた。
(残念ながら、実現するまでに自分は退職してしまった…)

以上のように、お金とは別のモチベーションや目標対象を作っていくようにした。
この甲斐もあり、成果報酬アップの施策が終わっても、著しいパフォーマンスの低下は避けられたと考えている。

まとめ

以上、エージェント経由の採用活動を好転させる際に行った施策の中でも、効果が良かったものを紹介した。
が、他にも小さい効果だが、やったことはたくさんある。そして失敗もたくさん笑

長くなったが、この記事で伝えたかったことは、一番最初に話した、
エージェントの担当者=もう一人の採用担当ということ。

そして、そのもう一人の採用担当にコミットメントしてもらうためには、
それなりの理由や動機形成をしていかないといけないということ。

エージェントを使われている企業人事様は是非ご参考にいただけたら幸いです^^

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