会社選びの軸設定の罠〜こうしてキミはボットン便所の家に住む〜

採用人事として3年半のキャリアを過ごし、今は採用コンサルタントして半年が過ぎた。
大学在学中の最後の1年間は、就活イベントやキャリア面談の手伝いをしていた。
更に自分は、就職活動の当事者として、2年も活動をしていた経験がある。
もはや、7年もの時間を、新卒の就職活動ならびに採用活動に費やしている。

この7年間で、多くの就活生を見てきたわけだが、その大半が気づいていない、就職活動の落とし穴がある。

しかもそれは、ほぼ全員が就職活動中に体験するであろう「会社選びの軸」の設定に存在する。

自分自身も就職活動の2年目で気づいたことであり、今も「僕みたいにならないように」と、就活生に話している内容で、わりと刺さってる内容なので、記事にまとめてみた。

1.落とし穴とは何か

就職活動で就活生は「自己分析」や「企業分析」、「選考対策」などに精を出す。
その自己分析の中でも、自分が目指す企業を探したり、絞り込んだりするために整理されるのが、「会社選びの軸」である。

それは例えばこういうものである。

「グローバルに挑戦できる」「若いうちから裁量がある」「女性でも挑戦できる土壌がある」「給与がいい、上がりやすい」「福利厚生が充実」「育休制度が整っている」「働く人が活き活きしている」「優秀な人が多い」「上司にも意見が言える風通しのよさ」「●●に関わることができる」「●●に挑戦できる」・・・

皮肉でもなんでもなく、どれも素晴らしく、紛れもなく就活生一人ひとりが真剣に考えて出てきた軸であり、大切な条件なんだろうと思う。

ただ、ここで注意すべきは、このようなポジティブな軸のみで、会社を検索し、評価し、絞り込み、意思決定することは、かなりのリスクをはらんでるということ。

では、そのリスクとは何か?それをこれから説明していく。

2.ボットン便所のリスク

繰り返しになるが、就活生は会社選びの軸を、企業のリサーチや評価、意思決定に利用する。
これがリスクとはどういうことなのか、別の例で説明する。

例えば、今、あなたは引っ越しを検討しており、引越し先を賃貸情報サイトで検索しているとする。
そしてあなたが大切にしたい家選びの条件は「駅から5分」「家賃は8万円以下」「セパレート」とする。

検索し、発見。

全部の条件を完璧に満たして素晴らしい引越し先が見つかった。



新生活スタートの初日、あなたはトイレのドアを開いて驚愕する。

「ボットン…?便所…なの…?!」



いきなりボットン便所の話をして、私は何が言いたいのか。

それは、先程の検索軸だけでは、ボットン便所には気づけないということだ。

もう一度想像してほしい、ボットン便所の家に住むくらいなら、

家賃が5000円高くて水洗便所の方がいいのではないか?
セパレートを諦めても水洗便所の方がいいのではないか?
駅から10分歩いても水洗便所の方がいいのではないか?

少なくとも私なら、他の条件とバランスを取ってでも水洗便所を選ぶ!

つまり何が言いたいかというと、あなたの選択を一瞬でミスマッチに変える、ノックアウトファクターを見落としていないか?ということ。

就活生には、ポジティブな会社選びの軸だけでなく、自分にとってのノックアウトファクターをしっかりと整理し、検証していくことを強くお勧めしたい。

「そんなことはわかってんだよ」「その情報どうやって手に入れるのか教えろよ」といった声が聞こえてきそうなので、その点について次に触れようと思う。

3.ボットン便所の回避方法

実際に引っ越しでボットン便所の部屋を意図せず選択してしまう、なんてことはない。
なぜなら、引っ越しには必ず内見があり、その時点で余裕で検知できるからだ。

では就職活動における内見とは何か?それはインターンだろう。
実際に体験入学のような形で中に入り、肌で会社の文化や雰囲気について感じることで、これまで伝聞情報だけでは気づけなかったことにも、気づくことができる。

もちろんこれは、過ごす時間に比例する。
長い時間を過ごせば、その分、会社のいいところや悪いところについて理解することができるだろう。

では、インターン以外に方法はないのか?
この質問への回答としては、「長期インターンほど正確な情報を得る方法はない、けど、やりようによっては引き出せる部分もある」と考えている。

具体的な方法論は下記に書いておくので、参考にしてみて欲しい。

参考.方法の例

方法案①:採用活動と利害関係のない社員と話す
採用活動の息がかかった社員は、多くの場合、採用の意図や会社の採用戦略を理解しているだろうから、なかなかネガティブな情報は出てこない。
いいところ、ポジティブに変換されて伝えられるか、全く別のクリティカルでないネガティブ要素を伝えられ、終わるのではないかと思う。

一方、企業には、採用に関わらない人も多くいる。むしろ圧倒的にそちらのほうが多数派である。であれば、そういった採用活動と利害関係のない人に根掘り葉掘りヒアリングするのがいいだろう。

ただし、注意しないといけないことは、「主観」が多分に含まれている可能性があるということ。たまたまヒアリングした人がネガティブマンだったら、他責型人材だったら、必要以上に情報がネガティブになる可能性があることを頭の片隅に入れておこう。

これを回避する方法は、複数人に聞くことで回避できるだろうし、そもそもどこを切り取ってもネガティブに言う人の意見は信じない方がいいかもしれない。

方法案②:採用担当から上手く引き出す

採用人事の多くは、採用人数のKPIを置かれていることが多い。だからどうしても、採用人数を追ってしまうことがある。それにより、本来学生のことを思えば伝えるべき自社のネガティブ要素も伝えない判断をしたり、ポジティブに変換して、相手が期待する回答からずらしたりすることがある。

そんな前提でいかにして人事から引き出せば良いのか。

どストレートに「貴社の悪いところってどこですか?」なんて聞いても、はぐらかすに決まっている。ではどうする?

今、行ってる改善活動を聞けばいい。改善活動自体は、決してネガティブではない。一方、改善活動をしているということは、その活動から解決すべき課題が見えてくる。自分の課題に対してピンポイントに情報を拾うことを難しいが、こういった、外から変化球を投げて上手く引き出すことが重要だ。

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